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海外旅行者のためのデング熱対策:日本でワクチンが打てなくてもできる予防策とグッズ

海外旅行を計画中の方にとって、デング熱は注意すべき感染症の一つです。特に、デング熱が流行している地域に向かう際には、予防策をしっかりと講じることが非常に重要です。しかし、残念ながら日本国内ではデング熱ワクチンの接種が困難であり、他の方法で自らを守る必要があります。

本記事では、公的機関から提供されている信頼性の高い情報をもとに、デング熱の基礎知識、予防策、そして旅行保険の選び方について詳しく解説します。デング熱に関する正確な情報を得ることで、安心して旅行を楽しむための準備が整うはずです。ぜひ最後までお読みいただき、万全の対策を講じたうえで、安全な旅行を実現してください。

執筆者情報
しらせ

私は薬剤師です。国立感染症研究所で感染症疫学を学んだ後、輸入感染症の症例が多い病院で勤務しています。感染症を引き起こす病原体の臨床研究にも関わらせていただいております。感染症の情報を発信することで私自身も勉強させていただきます。

目次

1. デング熱とは?リスクを理解しよう

デング熱は、蚊を媒介として広がる感染症で、主に熱帯や亜熱帯地域で流行しています。デングウイルスに感染すると、発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、発疹といった症状が現れることが多く、重症化すると出血やショック症状を引き起こすことがあります。毎年、世界中で約4億人が感染し、そのうち約2万5千人が命を落とすとされています。

特に日本から旅行する方にとって、デング熱は注意すべき感染症の一つです。デング熱は、日本では一般的な病気ではないため、予防接種や特別な治療法が日本国内で提供されていないことが多いのです。そのため、デング熱が流行する地域に渡航する際は、予防策をしっかりと講じることが重要です。

2. デング熱が流行する地域とは?

デング熱は、アジア、南米、アフリカの熱帯・亜熱帯地域で主に流行しています。旅行者が特に注意すべき国や地域には、タイ、フィリピン、インドネシア、ブラジル、メキシコ、ケニアなどがあります。

これらの地域では、雨季に入ると蚊の活動が活発になり、デング熱の感染リスクが高まります。特に都市部では人口密度が高いため、感染拡大のリスクがさらに上昇します。農村部でも蚊の繁殖が活発であるため、滞在する地域によっては特別な注意が必要です。

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3. デング熱ワクチンの現状

デング熱を予防するためのワクチンは存在しますが、日本国内での接種は非常に限られています。

フランスのサノフィ社が開発した、最初のデング熱ワクチン「デングワクシア®」(CYD-TDV)は2015年12月に承認され、現在、20カ国で規制当局から承認されています。特にデング熱の流行地域に住んでいる人々に対して使用されています。

しかし、日本ではデング熱の流行が少ないことから、厚生労働省はこのワクチンの広範な使用を推奨しておらず、国内での接種が難しい状況にあります。さらに、このワクチンはすべての人に効果的ではなく、過去にデング熱に感染したことがある人のみが推奨されるため、日本では一般的な予防手段として利用するのは現実的ではありません。

4. デング熱予防のためにできること

日本からデング熱の流行地域に旅行する場合、予防接種が難しいため、他の予防策を徹底する必要があります。以下のような対策を講じることで、デング熱のリスクを大幅に減らすことができます。

防蚊対策

デング熱の主な媒介者は「ネッタイシマカ」と呼ばれる蚊です。これらの蚊に刺されないようにするためには、まず以下のような対策を行いましょう。

  • 適切な服装: 長袖シャツや長ズボンを着用し、肌の露出を減らすことが重要です。特に朝や夕方の時間帯は蚊が活発に活動するため、この時間帯の外出時には特に注意が必要です。
  • 虫除けスプレーの使用: DEET(ディート)やイカリジンを含む虫除けスプレーは効果的です。これらを服や肌に適切に塗布し、数時間ごとに再塗布することが推奨されます。
  • 蚊帳や防蚊ネットの使用: 室内では蚊帳や防蚊ネットを使用し、蚊が入り込まないようにすることも効果的です。特にエアコンがない場合や、窓を開けたままにする場合には必須です。

デング熱対策グッズの紹介

予防策を実践するために便利なアイテムも数多く存在します。以下のようなグッズを旅行前に準備しておくと、現地での安心感が増します。

  • 虫除けスプレー: DEETやイカリジン配合のものがおすすめ。スプレータイプだけでなく、ローションタイプや携帯用の小型ボトルも便利です。
  • 蚊取り線香や電気蚊取り: 部屋全体を蚊から守るために役立ちます。屋外で使用できる携帯型もあると便利です。
  • ウェアラブル防蚊アイテム: ブレスレットタイプやクリップ式のものなど、身に着けているだけで蚊を遠ざけるアイテムもあります。

5. 旅行保険の重要性

万が一デング熱に感染した場合に備えて、適切な医療を受けられるように旅行保険に加入しておくことが重要です。デング熱に感染した場合、医療費や帰国費用が高額になることがあり、これらをカバーする保険は必須です。

デング熱をカバーする旅行保険の選び方

旅行保険を選ぶ際には、デング熱やその他の感染症に対応できるカバー範囲があるかを確認することが重要です。特に、以下のポイントに注目してください。

  • 医療費のカバー範囲: デング熱の治療に必要な医療費が補償されるかを確認しましょう。特に入院費や診療費、薬代などが含まれていることが重要です。
  • 緊急搬送: 重症化した場合に現地で適切な治療が受けられない可能性があるため、緊急搬送サービスが保険に含まれているかを確認しましょう。
  • 感染症関連の補償: デング熱以外にも、現地で流行している感染症に対する補償が含まれているかどうかをチェックします。

おすすめの保険プランの紹介

いくつかの保険会社が提供するプランの中から、デング熱やその他の感染症をカバーする保険プランを比較しました。

6. 現地での行動ガイドライン

現地での滞在中にも、デング熱のリスクを管理するためにいくつかの行動ガイドラインを守ることが重要です。

滞在中のリスク管理

  • 蚊が多い時間帯と場所を避ける: 朝や夕方、特に日の出前と日没後は蚊の活動が活発です。この時間帯はなるべく外出を控え、屋内で過ごすようにしましょう。また、水辺や湿地帯など蚊が多く発生する場所も避けるようにしてください。
  • 適切な服装と虫除けの使用: 長袖・長ズボンを着用し、虫除けスプレーをこまめに塗布することを続けましょう。

症状が出た場合の対処法

  • 早期の医療機関受診: 発熱、頭痛、筋肉痛などのデング熱の初期症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診してください。早期の診断と治療が、重症化を防ぐために重要です。
  • 自分を守るだけでなく、他の人にも知らせる: 症状が出た場合は、旅行先の同行者にも注意喚起を行い、必要に応じて同様の対策を講じるよう促しましょう。

現地の医療機関情報のリスト

主要な旅行先での信頼できる医療機関の情報を事前に調べ、緊急時に備えて連絡先を控えておくことも重要です。

外務省の世界の医療事情のページに国ごとに日本語が通じる医療機関がまとめられています。

世界の医療事情(外務省HP):https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/index.html

7. まとめ:事前準備を怠らないことが重要

デング熱のワクチン接種が難しい日本から海外に旅行する方にとって、最も重要なのは事前の準備です。

デング熱が流行する地域に旅行する際には、蚊に刺されないための予防策を徹底し、万が一感染した場合に備えて適切な旅行保険に加入することが求められます。

また、旅行前に対策グッズや保険の手配をしっかりと行い、安心して旅行を楽しむための準備を怠らないようにしましょう。

さらに、信頼できる情報源からの最新情報を常にチェックし、状況に応じて対策を柔軟に変更することも大切です。

8. Q&Aコーナー

Q1. デング熱ワクチンはどこで接種できますか?
A1. 日本国内での摂取は難しいですが、デング熱流行地域の一部の国で接種が可能です。渡航前に現地の医療機関を確認し、必要に応じて接種を検討してください。ただし、この記事でも紹介したとおり、ワクチン接種は必ずしも必要ではなく、予防策の徹底で感染リスクを大幅に減らすことができます。

Q2. デング熱に感染したらどうすればいいですか?
A2. まずは現地の医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。また、旅行保険の連絡先にすぐに連絡し、必要な手続きを進めることをお勧めします。

しらせ

以上の内容を参考に、デング熱流行地域への旅行を安全に楽しんでください。準備を怠らず、しっかりと対策を講じることで、安心して旅行を楽しむことができるでしょう。

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